1.含み損の決済による節税手法
FXの節税対策として、年末に損切りをして含み損を解消するやり方があります。
多くのFX会社では、未決済の含み損、含み益は、課税対象になりません。そこで、納税額を減らすために、含み損の保有ポジションを決済して損失を確定させ、決済利益を圧縮するという手法です。
例えば、年末に決済利益200万円、含み損100万円があったとします。このまま越年すれば、課税対象となる利益は200万円、納税額は約40万円です。
2,000,000×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)=406,300円
一方、含み損100万円を決済して越年すれば、課税対象となる利益は100万円、納税額は約20万円になり、約20万円の節税効果があります。
1,000,000×20.315%=203,150円
節税額=406,300-203,150=203,150円(=含み損1,000,000円×20.315%)
すなわち、含み損を決済することで、含み損の約20%を節税することができます。
決済損益に加えて、ロールオーバー損益、すなわち含み損、含み益が課税対象となるSBI証券などの一部のFX会社では、この手法は意味がありませんので、ご注意ください。
2.含み損決済と同時に新規ポジションを持つ意味
含み損を決済すれば、損失が確定するのですが、決済した直後に新規で同じポジションを持てば、含み損を決済する前と同じことになります。
例えば、ドル円(105円、売り、100,000通貨)のポジションを保有しているとします。現在のレート115円とすると、含み損は100万円になります。
含み損=(115-105)×100,000=1,000,000円
この含み損を現在のレート115円で決済し、その直後に115円で、決済前と同じポジション(売り、100,000通貨)を持てば良いのです。
翌年に115円のレートが105円になり、その時点で決済すれば、100万円の利益になります。すなわち、翌年に含み損が解消されるという訳です。この場合、結局は翌年に決済した100万円の利益に対して約20万円の納税が必要になるので、納税を翌年に繰越したことにしかなりません。
従って、含み損を決済して同じポジションを持つ手法は、複数年で見ると、納税の時期がずれるだけで、本当の意味の節税ではありません。
また翌年にレートが105円に戻らず、逆に125円になると、当然のことながら100万円に損失が膨らみます。決済した含み損の100万円を加えると、200万円の損失になります。
3.含み損決済手法(おすすめ)
①含み損を決済せずに放置する
含み損が気にならなければ、放置しましょう。FX節税対策【その2】ふるさと納税で返礼品をゲットしよう!で説明しましたが、ふるさと納税と必要経費を最大限併用して使っていれば、含み損を決済して利益を減らすことで、逆にふるさと納税限度額以上の寄附をしていることになるはずです。そうなると、限度額以上に寄付した分の控除はなくなってしまいます。
詳しくは、以下をご覧ください。
FXの利益で納税する、すなわちFXで納めた税金が国・自治体の財源となり社会貢献できる、と考えて、正々堂々と納税しましょう。
②トレンドと反対の含み損は決済する
明らかにトレンドと反対の含み損を抱えていて、トレンドが変わるまで耐えられそうにない場合は、含み損を決済するのも手段の一つです。
含み損を決済すれば、精神的には楽になります。また、含み損を決済すれば、新たにポジションを持つ余裕も生まれます。一度リセットしたい場合は、年末のタイミングで損切りしてしまいましょう。
③スワップポイントがマイナスの含み損は決済する
スワップポイントは、保有期間が長ければ長いほど大きくなります。スワップポイントがプラスになる含み損であれば良いのですが、マイナスの含み損は、じわじわと損失が増えていきます。気になるのであれば、年末のタイミングで損切りしてしまいましょう。
損切りをするのは、非常に辛いです。でもFXを長く続けていると、どこかのタイミングで必ず損切りが必要になります。年末は損切りの絶好のタイミングですので、年末の取引最終日までにじっくり考えて、新たな気持ちで新年を迎えられるようにしましょう。